短冊には古来、一定した書式があります。書道を学んでいる人も、短歌や俳句を学んでいる人も、常識として心得ておくことは無駄ではありません。
短冊への題の入れかた
題は、署名(落款)まで書き上げた後、全体のバランスを見て、上部の余白に配置します。
一字から三字までの題は、まん中に一行に書きます。
四字以上の題は二行に割書きします。
題が長くて歌の上部だけにおさまらない場合は、歌の行間にまで割り込んでもかまいません。ただし、その際にはなるべく小刻みに間隔を開けながら書くなど、全体の美観を損ねないように気をつけます。
留別などの贈答歌の場合には、歌に消息(手紙)を添えて書き入れてもよいという慣例があります。この場合には、長い題を書くのと同様の要領ですが、長い場合には、題の右側から書きはじめて下まで、次に左側という風に書きます。そして歌の行間にわたるという順序になります。
こうした消息などを書き付ける書式は、足利期にもっぱら流行りました。
色紙・短冊の上下について
色紙・短冊において、無地・唐草模様のものは上下の区別はありません。基本的には縦長に使用すればよい。但し、唐草でも濃淡のある場合は濃い方が上となります。
模様のあるものは、
雲形・霞形などの場合、空間の広い方を上にします。
着色の異なる場合、濃い方が上になります。
但し、打曇りの色紙・短冊で青や紫などのように同一程度の色調のときは、青を空とみたてて上にします。
金砂子や金・銀箔を散らしたものは、上下二段に捲いてあるものは、端からはかって金砂子までの空間が広い方が上。同一寸法の場合は、箔の多い方が上になります。
季節感から
春は青、夏は赤、秋は黄か白、冬は紫と伝統的に色が決められているようです。
打曇(うちぐもり)とは
素紙に雲形を漉き込んだもので、以後雲形短冊が一般になりました。
※この雲形紙には一つの原則があります。
普段は青色雲が上で紫色雲が下。但し、追慕の時は逆になって紫が上となります。